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土用の丑の日にうなぎを食べる意味

2023.03.02

夏の土用の丑の日にはうなぎを食べる習慣はいつ頃から始まったのでしょうか。

夏に鰻を食べる風習自体は古くからあったようで、記録に残るところでは万葉集に大伴家持が夏痩せに鰻を食べることをすすめた歌が詠まれています。

・石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻(むなぎ)とり食せ

「土用の丑の日にうなぎを食べる」という風習が定着したのは江戸時代のことと言われています。

そもそも土用とは雑節と呼ばれる季節の移り変わりの特別な暦日のひとつでです。節分や彼岸、入梅も雑節にあたります。その中で土用は立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間のことを指します。昔の暦では日にちを十二支で数えていたので、その18日間の中で丑の日に当たる日が「土用の丑の日」になるわけです。ですので、土用の丑の日は季節ごとにあります。

【2019年の土用の丑の日】
1月28日、4月22日、5月4日、7月27日、10月31日

【2020年の土用の丑の日】
1月23日、4月16日、4月28日、7月21日8月2日、10月25日、11月6日

【2021年の土用の丑の日】
1月17日、1月29日、4月23日、7月28日、10月20日、11月1日

この「土用の丑の日」の中でも夏の「土用の丑の日」が、今では「土用の丑の日」として認知されているのです。
ちなみに夏の土用の丑の日が2日ある場合は、先を「一の丑」、後を「二の丑」と呼び、一般的には最初に来る「一の丑」が鰻を食べる「土用の丑の日」となります。

夏の土用の時期は、じめじめとした梅雨が終わり急に暑さが厳しくなるなど、季節の変わり目で体調を崩しやすく、夏バテしやすい時期です。そのため、古くから「精のつくもの」を食べる風習がありました。

その「精のつくもの」の中でも鰻が食べられるようになったのは、江戸時代の蘭学者でもあり、発明家でもある平賀源内が発案した宣伝文句に由来しているという説が有力視されています。

「本日丑の日」
土用の丑の日うなぎの日
食すれば夏負けすることなし

鰻屋から夏に客の入りが悪くなるという相談を受けたことから、上の宣伝文句を軒先に張り出したところ、大繁盛しそれが広まり、また、もともと古くから「丑の日」に、「うの付く食べ物」を食べると縁起がいいなどといわれていたこともあり、夏の土用の丑の日にはうなぎを食べる習慣が根付いていったといわれています。

鰻を食べて暑い夏を乗り切る風習は今もしっかりと引き継がれています。
夏と言わず季節の変わり目や、疲れがたまっている時には、栄養豊富な鰻で元気を取り戻しましょう!