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匠による鰻の味への追求と取り組み

2023.03.02

大隅うなぎグループの養殖部門である高須水産にて生産される匠うなぎは独自の鰻養殖法(高須式)にて旨味を最大限にする追及を続けています。その取り組みの一部をご紹介します。

■ 高須水産における鰻養殖法(高須式)

本飼育方は、鰻を調理、加工した時に鰻本来の美味しさと香りのする品質の良い鰻を生産することのできる鰻の飼育方法に関するものである。

鰻は、専門店で調理されたものを賞味するかデパートや量販店等より蒲焼・白焼に加工されたものを消費者が購入した後、家庭で賞味することが多い。この場合の鰻には、「柔らかい」「泥臭くない」「油がしつこくない」ことが要求される。

一方、近年の鰻には、「鰻本来の香りに欠ける」「味にコクがない」等の評価がある。これらの評価に対し、鰻飼料に生魚を加えたものや湯通した魚を鰻に与えて飼育する方法が採られていたが、養殖池の水が汚れること、給餌に手間がかかる等の理由から現在ではほとんど行われていない。

そこで、取り扱いが容易で、従来の品質以上の鰻を養殖することができる鰻の飼育方法が必要とされている状況だった。

本飼育は、上記のような従来の状況に檻みてなされたものであり、鰻を調理・加工した時に、「適度な柔らかさ」「鰻本来の香りがある」「味にコクがある」鰻を供給するための鰻飼育方法、(給餌方法)を確立することを目的とする。

本飼育者は、当課題を解決すべく様々な試験を重ねた結果、鰻配合飼料にオキアミミール・エビミールを添加することによって「鰻の香り」が強くなることを確認した。白焼の場合は、鰻に焼き色を付けることが重要であり、鰻を蒲焼に加工した時にタレの乗りを良くし、美味しい蒲焼に仕上げることができる。この白焼の時の匂いも鰻の味を決定する要因となっており、オキアミミール・エビミールを添加することで白焼の匂いも良くなることを確認した。

又、「蒸し」の工程は、柔らかい蒲焼を作るための必須条件であるが、ニンニク粉末を飼料に添加することによって、単に柔らかいだけでなく、「表面はカリッとして、内部は柔らかい」鰻の加工品を製造できることを確認した。

更に又、配合飼料に生卵を添加することによって、鰻を加工した時に「鰻の香り」「鰻のコク」が増加することを確認した。

すなわち、本飼育は、オキアミミール・エビミール・ニンニク粉末・及び、生卵を添加した飼料によって、上記課題を解決したものである。又、本飼育は、上記添加物を飼料に配合し、少なくとも出荷45日前、理想的には60日前から出荷時まで鰻に給餌する飼育方法(給餌)によって、上記課題を解決したものである。

本飼育方法によって鰻を飼育すれば、鰻、調理・加工した時に「適度な柔らかさ」、「鰻本来の香り」、「味にコクがある」鰻の養殖を行うことができる。

■ 各添加物の飼料に対する配合割合

本飼育において飼料に添加されるオキアミミールは、特に限定はないが、主として南極オキアミをミール加工したものが使用される。このオキアミミールの配合飼料の添加量としては、0.35%である。エビミールの飼料への添加量としては、0.35%である。

本飼育において飼料に添加されるニンニク粉末は添加量としては、0.3%が好ましく、ニンニク粉末に含まれるアリシンが、飼料中に0.1~0.05%含有するように添加するのが良い。

本飼育において飼料に添加される生卵は、特に限定はないが、養殖場の近隣である宮崎県新富町の養鶏場で生産された卵を使用している。添加量としては、3%である。(配合飼料1袋「20kg」に対して10個「600g」を添加している。)

本飼育に使用される鰻用飼料は、ベースになるオリジナル飼料であり時期に応じて魚粉、ビール酵母、澱粉類、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類等を適宜添加配合を行う。

■ 本飼育法におけるアミノ酸量の推移と比較

アミノ酸自動分析法(株)東洋環境分析センター

このようにして、鰻本来の旨味と香りに秀でた鰻を、匠の技術により炭火で焼き上げたのが「おおすみ鰻 こい匠」の鰻の蒲焼きなのです。ぜひ、「おおすみ鰻 こい匠」の鰻を食べてその旨味をご賞味ください。